第67回ル・マン24時間レース
1度ピットインし、フラットスポットができたタイヤを交換し、再度ドノバンはコースインした。ところが1周目でピットに戻る。クラッチがスリップしている状態を示すように、「シフトアップインジケータが早く点灯してしまう」とのこと。ピットガレージでジャッキアップしてクラッチミートしてみたところ、バーストしている様子はなく、フランクに交代してレースに復帰していった。無線からは、「クラッチはオーケー、水温も油温も問題ない。」とのレポートが入ってきた。ピットには安堵の空気が流れた。 コースに戻ったフランクは、3'55"台でラップを重ねる。先ほどのドノバンの様子を誰もが忘れかけた頃、クラッチが滑り出した。フランクは、一昨日オイル火災があったアルナージュ先にマシンを止め、ピットの指示を仰ぐ。オーバーヒートによるクラッチスリップのため、クラッチが冷えれば摩擦力が復帰するはず。エンジニアの指示で、フランクはエンジンフードを一人で開け、クラッチハウジングにコーラをかけ、クラッチ冷却とクラッチ盤に糖分を付着させて摩擦を発生させる作業を行った。 マシンをコースサイドに停車させてから約1時間、ローギアでアイドリングのままフランクはピットに戻ってきた。メカニックたちはそれを待ち構え、クラッチ交換作業に飛び移った。 |