「ル・マン」に向けて、独自マシンの開発を進めました。

■本番の「ル・マン」でリタイアしたばかりか、日本での「ル・マン富士1000km」では奇跡的なリカバリーはしたものの予選で大クラッシュ…と、まったくいいところのない99年でした。並みのプライベートチームなら、2度と「ル・マン」には挑戦できなくなっても不思議ではない状況と言えましょう。しかし、もちろん、私たちは諦めたりしません。スポンサーである株式会社am/pmジャパンのご理解のもと、早速、2000年に向けての活動をスタートさせました。

■99年シーズン最大の敗因は、マシーンの熟成不足でした。ほとんど完調で走ったことがなく、常に新しいトラブルと戦い続け、その結果がさらなるトラブルを呼ぶという悪循環に陥っていたのです。そこで、2000年に向けての対策として、すべての開発とメンテナンスを日本で行うことに決めました。
シャシーは、この際、徹底的に造り直し、同時に重量の軽減を狙う。ボディカウルは、空力の改善と軽量化を目的に、新デザインを採用する。そして、その両方を、日本国内で、日本人の手で確実に実行する…という計画です。

■カウルデザインは、ムーンクラフトを主宰するレーシングカーデザイナー由良拓也氏が監修。カウルの上面を流れる空気とシャシー下面を流れる空気のバランスを向上させ、低ドラッグながらダウンフォースを損なわない形状とし、最高速の向上を狙う。ル・マンのコースではユーノディエールで2回+ミュルサンヌからインディアナポリス間で1回と計3回も最高速域に達することから約4〜5秒のタイムアップが目標だ。
■2000年のル・マン規定は、ウイングの大きさやオーバハングなど最高速を遅くする方向に規制している。その制約の中で、前部ライト周りの形状を始め、フロントタイヤ後部のエアアウトレットの変更、オイルクーラーの移設、テール部の延長等々、可能な限りの「New」がトライされている。頭に浮かんだアイディアをボディに次々と吹き込んでいく由良氏の様子は、図面やモデルでデザインすることに慣れた若いデザイナーのための得がたい勉強の場でもある。
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