編集後記・・・長い間のご愛読ありがとうございました。

皆さん、こんにちは。いつも貴島ゼミナールをお読みいただき有難うございます。このゼミナールは自動車工学理論を誰もが理解できる世界に引き戻す、それは日々のドライビングで体感する感性を理解するため、やさしい工学理論による定義を目指して展開してきました。つまり皆さんの感性に工学が歩み寄ることを心がけて開講してきました。
高速道路のランプからの合流、サーキット走行、峠のドライブ、ジムカーナ、など、さまざまな走行環境において遭遇する挙動はどのような力学が働き、クルマはどのような動きをしているのか、そして、ドライバーはその印象をどんな感性として捉えているかなどを明らかにしてきました。更にさまざまなシーンにおけるクルマのチューニングをどんな考えで行なえば良いかなども交えて述べてきました。なにより、皆さんがクルマライフを楽しむために、如何に自分の感性に合ったクルマを手に入れるか、その見識の一助になればと解りやすさに注力しました。純粋な理論を展開しても理解が難しいと思われる項目には、感覚や描けるイメージを大事に感性にマッチする数値を導き論理展開を行ってきました。とは申しましても、運動現象を数値化し感性を理解いただくことは大変難しい作業でした。運動方程式を使えば理論的に正しく、精度の良いことを承知の上で使用を避けてきました。感性を理解するためには運動方程式を理解する事より、皆さんの感覚に合った動きや力の変化を理解する方が良いと考えました。最も苦心したことは、17章の旋回ロール挙動のイメージを理解いただくために、時間の概念を定義する事でした。加速度は瞬間に発生したと定義し、挙動を述べる際には微小な刻みで時間経過のある変化を取り入れたことなどです。純粋に理論を展開すると矛盾があることを承知での記述です。そのような点をご理解いただきクルマの挙動とドライバーの感性の関係を納得いただければ幸いです。
皆さんのクルマに対する感性は現在までに蓄積されたドラビングの体験による記憶を基準に創生されるものです。従って皆さん一人ひとり違ったクルマ、違ったドライビング体験を違った感性をお持ちなのです。このゼミナールで扱った感性の記述は私自身の50年に及ぶ技術者としてのクルマ開発体験が記憶され基準となって創生した感性なのです。従って色んなフィールドでドライビング体験をされた方は違った記憶、違った感性をお持ちの方が大勢いると思っています。皆さんの感性を大事にご自身が納得できる感性を発するクルマを求めてください。

感性の源であるクルマの挙動を理解いただき、一生ドライブの楽しさを追求する感性価値の高いクルマライフにお役に立てば…と、ゼミナールを開講し5年余り立ちました。皆さんには、まだまだ気になる挙動や知りたい理論が多々あると察しますが、運転を楽しむためには必須の知識である操縦性関係のテーマが一段落したのを機に、ここで貴島ゼミナールは、閉講させていただくことにします。そして、次の機会に皆様へお話する時がおとずれることを楽しみにしたいと思います。 貴島ゼミナール長年のご愛顧に心より御礼申し上げます。

貴島孝雄  
  



■オートエクゼからの御礼とお願い
長い間、貴島ゼミナールをご愛読いただきありがとうございました。
当ゼミナールの目的は、クルマの運動メカニズムを理解して知的な運転を楽しんでいただくことです。ですから、とても難解な自動車工学を優しく平易に伝えられるか、そして原理原則の理解が得られるかがポイントでした。ですので、編集は貴島さんには無理なお願いをして、現実ではありえない条件を設定したり、複雑な運動を乱暴に単純化して進めてきました。そういった意味では、技術者向けの講義とは違うアプローチになり、少しは皆さんの理解のお役に立てたのではないかと自負しております。とはいっても、難しい内容が沢山含まれていたと思います。すべてを理解しなくても、皆さんが運転中にクルマの運動メカニズムを少しでもイメージできるだけで、貴島さんの提唱する動的感性工学の入口としては十分だと思います。最近は、興味が沸けばインターネットで簡単に、しかも、無限大に調べることができるようになりました。皆さんには、当ゼミをきっかけにして、より深い知識を得られるようにこれからも頑張っていただきたいと思います。編集部一同、心よりお礼申し上げます。

オートエクゼ 貴島ゼミナール編集部  

<編集部からのお願い>
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1/31をもちまして、アンケートの募集を終了しました。
皆さま、たくさんの熱いご意見をいただきありがとうございました!(17.2.1)