ストリートベスト。その追求を幾世代にも重ねて、
2012年、「マツダ車個性化プロジェクト」はさらに進化する。
時代は、クルマの価値を問い直すターニングポイントへ。
この数年、自動車を取り巻く環境は、経済性や環境性を中心に刻々と変化をしている。電気自動車、ハイブリッド、そしてSKYACTIVテクノロジーに代表される高効率の内燃機・・・エコに対する各社の技術競争が熾烈を極めている。その結果、「クルマは移動のための手段」という合理的な価値観が多くを支配しつつあり、趣味としてクルマを愉しむ空気は少々クールダウンしたかのようにも思える。 しかし、人間が発明したものの中で、クルマはとりわけ大きな自由や解放を実現してくれた道具であり、それゆえ単なる移動手段以上の存在として愛情を抱く人は少なくない。だとすれば、エコや社会性を尊重しながら、クルマに個性や自己表現を託したいとする人々の「想い」は、これからも不変であるはずだ。その「想い」に、私たちAutoExeは走りの歓びを追求する“A New Driving Sensation”を旗印に、これからも応え続ける。
「マツダ車個性化プロジェクト」。それは一貫したストリートベスト。
1997年の創業以来、AutoExeはマツダ車のさらなる個性化を目指し、一貫してストリートベストのチューニングを提唱してきた。そして2012年、その基盤を広げるべく、私たちの開発コードは「04」へと前進する。01~04とは、AutoExeの開発プログラムの世代を表すコードネーム。ベースとなるクルマの世代や新型車~絶版車とは関係なく、私たち自身の設定したコンセプトの進展を追ってコード化している。まずは創業以来、独自のコンセプトを貫きつつ、時代背景やトレンドも汲み取り進化させてきたチューニングの歴史を、かいつまんで振り返ってみたい。
<01世代 1997~2001>
With Le Man Spirit! すべての道は「ルマン」に通じる。
AutoExe設立以前のマツダスピード時代より参戦し続けてきた「ルマン」。この戦いは一般公道を含むコースを24時間走り続ける究極のストリート。F1に代表されるスプリントレースとは異なる耐久性や快適性が求められる。だから日常の公道におけるスポーツとしてクルマの理想は、「ルマン」的チューニング。つまり、快適で安全で速いこと。レース仕様から派生したチューンが流行中の当時、高品位なストリートベストのスポーツ性を主張した。同時に、部品単位での高性能を追い求めがちなアフターパーツ業界にあって、クルマとしてのトータルバランスに主軸を置いた車種発想のコンプリートチューンの礎を築いた。
<02世代 2002~2005>
Tune in to Your Heart ! 求めたのは、心を“快”にする性能。
基本は、自分の心に周波数を合わせること。無理なく、無駄なく、我慢せず・・・「自分らしさ」に車をフィットさせるチューニングを提案した。ピークパワーや限界特性、最高速度やサーキットでのラップタイムといった競技車両で重視される数値至上主義とは一線を画す、「ドライビングを深く愉しむ性能」の実現。洗練性にこだわった“感性チューニング”の追求は、この02世代から色濃くなって行く。
<03世代 2006~2010>
Fun to Tune! 量産車のマージンを削る快感。
それまでのAutoExe調よりもちょっとアグレッシブな路線へ。不特定多数のユーザーがどんな使い方をしても不都合を起こさない量産車の過剰なまでの快適性や耐久性、使い勝手のマージンを削ってシェイプアップ。クルマの反応をドライバーの期待値に同調させる“過渡特性”を適正化することにより、スポーツマインドを刺激する人とクルマのファンなコミュニケーションを提案した。
そして04世代。
根幹は揺るがさず、いっそうの洗練と拡大へ。
私たちが取り組み続ける「マツダ車個性化プロジェクト」とそのための指標“A New Driving Sensation”。この主張を継承しつつ、2012年に向けての04世代はさらに時代の知的、社会的要件を汲み取り、ドライブ感覚のいっそうの洗練を目的としている。そのために、01世代からの開発の3原則であるStylish・Functional・Authenticについて、新たに独自の方向付けを行った。
① 「Stylish=潔さ」 洒落た、粋なといった意味合いのスタイリッシュだが、私たちはもう少し広い意味で潔さと定義した。例えば、市場受けを狙った量産車の装飾過多なフロントマスクは、スッキリと端正なスポーツ顔へ。また機能パーツについても、アフターパーツ業界では犠牲にされがちなタッチやフィーリングと言った感覚面を重視すべく、いたずらなスペックや機能至上主義に陥らない割り切り=潔さを貫いている。
② 「Functional=変化感」 ファンクショナルとは直訳では機能本位であるが、スタイリングパーツによる見た目の変化感や、機能パーツによる体感が可能な変化感と定義したい。一例としては、静粛性の代償として薄められる速度感や、快適性を追求した結果消されてしまう路面からのインフォメーションの復活などがそれにあたる。チューニングする歓び、ワクワク感の復活は、このFunctionalによるところが大である。
③ 「Authentic=高品位」 単に品質が良い、保安基準に適合しているかではなく、大人の選択眼にも応えられる高品位のスタイリングと機能を条件としている。また、エコやマナーといった社会情勢の要請から逸脱しないことも求められる。さらに品位や大人の見識という観点では、作り手だけでなく使い手側も、メカニズムと人間の感性の関わりについて理解を深めることが求められる。Webに開設したコラム、動的感性工学概論「貴島ゼミナール」などをその手がかりとして頂ければ嬉しい。
2012年、私たちはデミオ、アクセラ、そしてCX-5といった最新のSKYACTIVシリーズはもちろん、不変の価値を有するRX-8/RX-7、新旧ロードスターといった現行&絶版スポーツに至るまでを分け隔てなく一挙にプロデュースする。その広範な開発を支える力は、自動車メーカーにはない少量生産システムやフレキシブルな小さな組織といった利点を存分に活かした「こだわり」と「ことわり」、すなわち「製品化の目的と、そのための方法論」の徹底から生まれている。 As a Mazda specialist, we aim for “Fun to Tune”, to provide “A New Driving Sensation”.=.新しいドライブ感覚を求めてチューニングの歓びを追求し続けるAutoExe。2012年型最新スポーツバージョンともいうべき新アイテムや多くの定番的製品など、私たちの発想と造り込みの確かさを、ぜひともご確認頂きたい。
「感性チューニング」を追求し続けるAutoExe Options。
狙いは、人とクルマのコミュニケーションの心ときめく深化である。
感性チューニングとは・・・・・より自分らしいクルマを仕立てるためのアプローチ。
クルマなんて単なる移動手段、と考える立場の人々には決して想像できないかも知れないが、現に私たちはクルマと会話することができる。聞く耳さえ持てば、クルマは常に私たちに語りかけているのだ。問題は、双方の対話能力。言い換えれば感性に訴える力である。 私たちがクルマに求めるのは、ドライバーの意思を感じ、それに応え、その結果をフィードバックする能力だ。そのポテンシャルを、どこまで高めることができるか。それこそが、チューニングの醍醐味。だから、必要なのは、やみくもな絶対性能の追求ではなく、「感性チューニング」だと、AutoExeは主張し続けてきた。 もちろん、その前提になるのは、乗る人の側の感性の洗練。クルマに何を求めるか。どんなディテールに昂ぶるか。そして同時に、時代の抑制的な呼吸を嗅ぎ取るデリカシーを持ち合わせているか。それらの感受性なくして、人馬一体のエクスタシーを感じることはできない。
2012年。私たちの感性チューニングは、どこへ向かうのか。それは、あなたの志向する”Fun to Tune”とどう結ばれるのか。以下に、その概要を、スタイリング・機能性・社会性にフォーカスしてご説明したい。
感性チューニング@スタイリング(Styling)・・・・・個性の端的な表現として。
デザインとは、人の感情やモノの機能を形にし、生活に美しさや利便を与える行為であると言える。インテリアデザインしかり、グラフィックデザインしかり、言うに及ばずカーデザインもである。それゆえに、どのようなデザインを選択するかは、自分らしさの追求や感性の満足に密接に関わっている。 私たちは04シリーズのスタイリングキットの開発にあたり、より大人の感性に響く「洗練」への熟成を図った。具体的には、デザイナーの言葉をお伝えしたい。
「スタイリングキットの主役はフロントバンパーですが、入れ込み過ぎては全体のシルエットが破綻しかねません。ノーマル部分とのマッチングを考えたうえでの変化感をつけています。それとマツダのオリジナルデザイン自体がともすると先進的すぎるので、あえて若干、トラッドな大人感を狙ったデザインにしています。エキセントリックなデザインとかにしてしまうとトータルバランスが取れなくなるからです。」
補足すれば・・・第一に、ややもすれば笑い顔に見える量産仕様の開口部を、逆台形の大型エアダクトに造形した「端正なスポーツ顔」に引き締め、「潔さ」を演出している。第二には、マツダ車の特徴であるプロミネントフェンダーからのラインに融合するように統合されたサーフェイスを、フロント前端まで構成させることで「変化感」を引き出している。第三には、スポーティかつシンプルなデザイン構成とするために、過剰なキャラクターラインを廃し、「高品位」を表現している。
また、このような視覚的要素のみならず、従来から重視してきた空力面でCd、CLのバランスも図り、デザイン、性能両面から感性チューニングを突き詰めている。
感性チューニング@機能性 (Functional)・・・・・五感に訴える機能の実現。
クルマが人の感性に訴えかける動的性能として「走る、曲がる、止まる」が重要なファクターであることは言うまでもないが、さらに五感へと突き進めば「見る、触れる、聞く」などへも及ぶ。これらの一つ一つが乗り手の感性を呼び覚まし、すぐれたチューニングはその感度をさらに研ぎ澄ます。もっと軽快に曲がるためのサスペンションキットを。もっとリニアに反応するブレーキパッドやローターを。もっと触感のいいシフトノブやステアリングホイールを。もっと心地よいサウンド聞くためのマフラーを・・・その想いを果たすのがファンクショナル(機能)パーツによるチューニングである。
これまでも言ってきたとおり、量産仕様は万人に受け入れられるためのマ-ジンを有している。このマージンをそぎ落とし、その余力をスポーツ感覚の増幅に活用することが私たちの「感性チューニング」の基本である。しかし、私たちはそのそぎ落としが無定見であってはならない、とも考えてきた。チューニングという行為は、性能と快適性がトレードオフとなることが多くある。理解しやすい例で言えばサスペンションキットである。クイックな操縦性能を得る代償として、乗り心地を損なう場合が多い。しかし、昨夏リリースした車高調整式のチューナブル+サスペンションキットは、代償となるNVH(Noise=騒音、Vibration=振動、Harshness=乗り心地/自動車の快適性を推し量る上での一つの基準)を極力損なうことのないように、バネ定数、減衰力の開発テストを重ねて設定。さらにバネレートを上げた影響(Harshnessの悪化など)に対処すべく、ゴムの弾性力が期待できる純正のアッパーマウントを使用して乗り心地を改善している。洗練を目的とする04世代ゆえの手法である。
また、このような狙いは、昨秋に発売した1.5WayタイプのLSD(Limited Slip Differential)においても同様である。純正のLSDに比較して、トルクバイアス比(=高μ側÷低μ側)を大きくとることで、コーナリングにおけるトラクション性能を引き上げている。ステアリング操作によるヨーの発生の他、アクセルコントロールつまりは、トラクション制御によるヨーのコントロールも可能になってくる。しかし、アフターパーツにありがちな唐突な効き味は慎重に排除している。コーナリング時の過渡特性を高めることに注力した美味なる感性チューニングを、ぜひとも堪能して頂きたい。
感性チューニング@社会性 (Sociality)・・・・・チューニングに問われるセンス。
かつてチューニングには、世の人々の支持を得にくい側面があった。例えば威圧的なスタイルや、極端に低い車高、ネジで取り外しができるマフラーの後端パイプなど、社会性を問われる改造が先行した点に原因があろう。しかし、時代とともにチューニングの中身やスタイルも成熟し始め、私たちAutoExe製品のように、自動車ディーラーでも車高調やドレスアップキットなどがごく自然に取り扱われるようになってきている。
では、チューニングにおける社会性とは何か?道交法、保安基準など法律面の順守は当然であるが、社会性とはチューナーや乗り手のセンス、いわば「感性」のあり方ではないだろうか。個性を強調したい、自分らしさを楽しみたいという欲求は、ファッションや趣味の世界に代表されるように人々の自然な感情である。しかし、過剰さやセンスを疑う表現は、ただのノイズになってしまう。クルマのチューニングも同様と言える。常々主張するように、私たちの基本は「量産車からの正常進化」「ストリートベスト」である。ただパワーがあればいい、目立てばいい、あるいはサーキットのみで通用するような手法と一線を画しているのは、性能のあり方のみならず、このセンスの問題でもある、と発言したい。
感性チューニングとは、あくまでも「人とクルマの対話能力を高める」こと。それは単なるカスタマイズではなく、クルマの機能と人間のコミュニケーションを一段と深く上質なものへ育てるということに他ならない。Fun To Driveのレベルを超えて、Fun To Tuneの領域へ。AutoExeによる「マツダ車個性化プロジェクト」で、あなたの走りをさらに心躍るステージへと進化させてほしい。