モーションコントロールビーム・制振効果について
MCBの剛性アップ効果はイメージできるけど、制振効果はどんな感じですか???・・・と私たちに寄せられるMCBのチューニング相談です。実際、制振性能は、言葉で説明しづらいですし、文面でもお伝えしづらいのが実情です。で、今回は、その制振性能を可視化するべく開発時のテストデータを簡略化してお見せしようと思います。
テストは、「MCB装着時」と「未装着」で行い、それぞれに発生する振動の大きさと収束するまでの振動量を比較します。同じ条件でテストすることで、いままでモヤモヤしていた効き方を、よりイメージしやすくなるはずです。既に装着されている方は、ご自身の体験とテストデータを重ねることで、作動イメージが明確になり、更に運転を愉しめると思います。是非、ご参考にしてみください。
尚、振動の単位は加速度(G)とし、振動量は図のように面積で表しますので、単位を用いない無次元量として扱います。因みに、コーナーリング中に気持ち良い!楽しい!と感じる加速度(横方向)は0.5G程度、加速度世界No.1のジェットコースターは3.75G程度(前後方向)といわれています。
では、最初に上下運動の比較を行います。
テストは、段差プレートを等間隔で3個並べた直進路を走行し、発生した振動が収束するまでをみてみます。段差の乗り越えは5回あり、「ホイールベース」と「段差プレート」の関係から、最初の2回は前輪のみで乗り越え、次に前・後輪が同時に、最後は後輪のみで2回乗り越えます。比較は、後輪が最後の段差を通過する手前から、収束するまでとします。※点線内拡大図をご参照ください。
・最大値の比較(A): MCB有(0.20G)MCB無(0.26G)・・・76%
・振動量(面積の比較):MCB有(250.3)MCB無(351.3)・・・71%
MCBの装着により、最大値では76%に、全体の振動量は71%まで、低下しました。
次は、高速道路のレーンチェンジを想定したテストです。
テストは、80km/hで定速走行している車が、レーンチェンジ中の(C地点)から、収束するまでを比較します。
尚、テスト①と異なるのは、加速度の方向が、「上下方向」→「左右方向」に変わり、加速度の最大値が4倍以上大きくなります。※点線内拡大図を参照ください。
・最大値比較(F):MCB 有(0.85G) MCB 無(0.95G)・・・89.4%
・振動量(面積の比較):MCB 有(29.2)MCB 無(33.0)・・・88.4%
MCB の装着により、最大値は89.4%に、振動量は88.4%まで低下しました。上下運動は、主に乗り心地感への影響を読みとれます。具体的には、段差によって、ガツンと不快に感じるか、乗り心地の角が丸くなって穏やかに感じるかです。左右方向は、操安性への影響を表します。MCB の装着により、レーンチェンジし終わったD地点以降の揺り返しが小さくなっていることが読みとれます。S字カーブが続くワインディングでは、これが連続し増幅するわけですから、顕著な変化だということは容易にイメージできると思います。
次回は、先日、既に装着されている皆さまからのインプレッションをまとめて、当ブログに掲載予定です。今回のテストデータをイメージして、実際に装着された方の生の声をご参考にしてみてください。
Posted by A.Asanuma