RX-7(FD)用、新サスペンションまもなく。

ピュアスポーツ!と言えるクルマは、後にも先にも“FD”しかないかもしれません。
というわけで、私たちの“好き”で始めた「絶版スポーツカーアップデートプログラム」。
今回は、FD用新サスペンションキットの仕様が決まりましたので、その開発進捗状況と「ストリートスポーツサス・キット」や「量産サスペンション」との違いを併せてお伝えします。

①スプリング(バネ)の設定
サスペンションにおけるバネの役割は、車高と最大ロール量を決めることです。FDは、元々スノーチェーン装着用のクリアランス(タイヤとフェンダーの隙間)がありませんので、他車と比べると低く、量産状態でローダウンした車高です。
なので、私たちの基準である「-15~-20mm」ではなく、「-5mm」にセット。バネ定数は、「量産以上、チューニング未満」のコンセプトから、ロール量を適度に抑えた量産比110%にしました。

②ダンパーの減衰力を決める「減衰比」
減衰力は、バネで決められたロール量に至るまでの速度に関係します。そのバネと減衰力のバランスを「減衰比」といい「%」で表します。
例えば、「減衰比0%」は、バネに対して減衰力を効かせない・・・極端には、バネだけで走っている状態。ですから、突起物を切っ掛けに一旦、バネが縮むと、半永久的に上下振動を繰り返してしまいます。反対に減衰比100%は、バネの伸縮が1回で収束する状態です。(この状態を臨界減衰力といい「4輪のバネ定数の総和×バネ上重量」の関係で求められます)

私たちの減衰比の指標は、車種問わず、初期ロール域を「70%」、乗り心地・突起域を「50%」、悪路域は「30%」としています。具体的には、カーブ進入時、ロールが始まる瞬間はバネに対して70%の減衰力で抑え、ジワっとした穏やかなロール感を狙い、マンホールの凹凸通過時や、乗り心地に影響する領域は、減衰比を下げて50%に、悪路では更に下げています。
バネと減衰力が決まれば、机上の開発は終了です。しかし、これだけでは不十分ですので、次は実車装着による感性評価を行います。

③感性評価
サスペンションの開発は、バネの仕様を決めれば、減衰比に基づいて減衰力が決まります。しかし、最終的には「ドライバーがどう感じるか」、更に付け加えれば「車好き」が運転して楽しい、ずっと運転していたい・・・と感じるかどうかです。

カーブ進入時のロール感や、突起を通過した時の収束性などは、高感度センサーでデジタルに数値化できたとしても、合う・合わない・・・は人の感性評価だからです。
このあたりは、ダンパー減衰力やバネを繰り返し変えて、狙い通りの乗り味になるまで、経験値をもとに突き詰めていくしかありません。

④仕様
FDは、その年式から一定の経年劣化が想定され、既に車高調を装着されている方も多いと思います。
ですので、今回は、「量産形状のダンパー」+「スプリング」+「マツダ純正アッパーマウント(最終6型用)」A’SSYのキットとし、サスペンションを丸ごとリフレッシュする仕様です。
表にスプリングとダンパーの仕様をまとめました。「スポーツ度合い」は、バネ定数で決まり、ロール感などの「乗り味」を減衰力で創り込んでいきます。

因みに「新サスキット」と「ストリートスポーツサス」の減衰比は、共に「70%・50%・30%」で試作開発し、実車による感性評価でチューニングを進めた結果です。

新サスキットの開発コンセプトは「量産以上、チューニング未満」。ピュアスポーツとして性能を甦らせ、量産以上の乗り味を堪能し、相棒として末永く付き合える・・・このような仕様に仕上げたつもりです。発売は、3月上旬を予定。ご興味のある方は、お楽しみにお待ちください。

Posted by A.Asanuma