ロードスター(NA)用、新サスペンションキット開発進捗情報①
絶版スポーツカーアップデートプログラムの次なるアイテムは、NA用「量産形状サスペンションキット」です。そのコンセプトは、もちろん量産以上、チューニング未満。あえて特徴を一つ挙げるとすれば、NB用サスペンションをベースにしていることかもわかりません。
ロードスターフリークの方々は、ご存知かもしれませんが、NB用サスペンションASSY(アッパーマウント~ダンパーを組んだ状態)は、物理的な互換性がありますから、そのままNAに装着できます。
しかし、両車の車重を比べると最も軽い機種同士でも約70kgの差があるため、スプリング&ダンパーは専用設計が必要です。わざわざ新規開発するのなら、NA用で設計すれば!?という意見もあるかもしれませんが、NB用は、アッパーマウント付近の構成部品が進化しており、開発視点では、セッティングしやすいNB用を丸ごと採用したというわけです。
では、早速、NB・NA用サスペンション(スプリングレス)を並べてみました。左から、「アッパーマウント」・「バンプストッパー」・「ダンパー」の違いが一目瞭然だと思います。
で、今回は新サスキットの開発進捗を兼ねて「なぜ、NB用をベースにしたのか?」をテーマに、最初にアッパーマウントの違いを皆さんに見ていただきます。
①NB用アッパーマウント
「入力分離型」を採用しているので、スプリングとダンパーの入力をそれぞれ別の個所で受け持っています。入力の大きいスプリング側はラバーシートを介して、ダンパーは、お団子のようなラバーブッシュを介して、ボディに装着します。
このメリットは、それぞれの専用ラバーを介して、ボディと締結されるので、スプリングとダンパーからの入力が、干渉し合うことなくそれぞれキチっと仕事してくれることです。
②NA用アッパーマウント
「一体型構造」を採用しているので、スプリングとダンパーの入力を同じラバーで受けもちます。その結果、ラバーボリュームが大きくなり、入力の伝わり方が少々複雑です。また、ダンパーは、ラバーが変形し潰れきってから、ストロークし動き始める・・・NBに比べると、ワンテンポ遅れてしまいます。
アッパーマウントの構造によって、路面からの入力の受け止め方が変わりサスペンションの動き方も変わることがイメージできたと思います。例えば、それぞれのアッパーマウントに、同じ減衰特性のダンパーを組み合わせても、ゴムの変形度合いやスピードの違いが、ダンパーの初期作動領域に影響を与えるので、結果、減衰力の立ち上がりが変わるということです。
因みに、このようなディテールの進化は、NAが大ヒットして、次期型であるNBの開発予算が確保しやすかった背景もあったようです。次回は、NB用バンプストッパーを使う理由について掘り下げる予定です。お楽しみにお待ちください。
Posted by A.Asanuma