WRチームとのジョイントを継続。
今年も「WRプジョー」とのジョイントだ。去年、急遽の参加ながら若いドライバーを束ねてチームを完走させた寺田に、今年はマシンの開発・熟成という大役が回ってきたのだ。長年の経験で今や現地人よりも「ル・マン」を知り尽くした寺田に、チームのオーナーであるヴェルテール氏がぞっこん惚れ込んだ結果である。

もともと寺田とヴェルテール氏には共通点が多い。寺田の初「ル・マン」は1974年、ヴェルテール氏は1976年。以来、二人とも「ル・マン」一筋だ。寺田は元マツダファクトリー、ヴェルテール氏は現役のプジョーデザイナー(名刺にはスタイルプジョーのディレクターとあるから、日本的には「本部長」クラスの大物か。レースはクラブ活動的に有志が集まって参加しているらしい。)両方とも現在のチームはプライベートだが、かってはメーカーチームで戦った経歴も持っている。メーカー体制でなければ勝てない「ル・マン」に、あえてプライベートで挑戦する姿勢も同じ。だから、何かと話が通じやすいのだ。

マシーンは基本的には2000年車の改訂版である。ただし、ロールが大きい、ダウンフォースが足りない、ブレーキの温度が管理しにくい…など、コーナリング性能に問題があるとの寺田の指摘に応えて、カウルデザインとサスペンションのピボットが変更されている。タイヤサイズも拡大された。シェイクダウンを担当した寺田によれば、現状では前後の空力バランスに問題があるものの、全体的には走りやすさと速さを加えているという。バカッ速さは望めないが、きちんと完走すれば、かなりな線までは期待できそうだ。