どん底から、新たな道が開けた。
'99年の不満足な結果を徹底的にしゃぶり尽して、私たちのLMP-Xは、ほぼ完璧な新車に進化していた。ボディは空力を見直すと同時に、軽量化されたし、シャシーすらまったくの新品に生まれ変わっていた。昨年はトラブル続きだったエンジンや駆動系の信頼性も徹底的にチェックされ、24時間に備えていた。誰もが「今年こそ」の希望に胸を膨らませていた。だが、「ル・マン」は、そんな甘い期待を一蹴してくれた。
なんと、「参加申請の不受理」という最高に冷たい仕打ちが、一通のFAXによってもたらされたのである。過ちは、私たちの側に存在した。主催者にLMP-Xの進化をアピールする努力を怠ってしまったのである。「ル・マン」が求めるものは、単に24時間を走りきる能力だけでないことを、当然、私たちは熟知していた。「あっ!」と叫んだ時には、すべてが後の祭り。 他チームとのジョイント以外の選択は残されていなかった。
この最悪の状況に新たな展開をもたらしたのは、他でもない「ル・マン」の主催者ACOそのものだった。地元フランスのWRチームに仲介の労をとってくれたのである。結果は、
無事の完走。総合27位、クラス3位だった。

(幻に終わった「LMP-Xプロジェクト」の詳細。)